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「ネズミ=チーズ好き」というイメージ、絵本やアニメでおなじみではないでしょうか。
しかし、実際にねずみの被害に困った経験がある方の中には、本当にチーズばかり狙われるのか疑問に思った方もいるはずです。
実は、このイメージにはいくつかの誤解や思い込みが関係しています。
この記事では「なぜネズミ=チーズ」と言われるようになったのかという由来と、ねずみが実際に好む食べ物について詳しく解説していきます。
好物を正しく知ることは、効果的なねずみ対策の第一歩にもなります。
ネズミはチーズ好きって本当?
「ネズミはチーズが好き」というイメージについて、まずは実際の研究データから確認していきましょう。
結論からいうと、ねずみがチーズを食べること自体は事実ですが、「特別な好物」と言い切れるかどうかは、研究によって見解が分かれています。
実験・研究で見る食いつき度
日本動物行動学会の発表要旨集には、関西学院大学文学部の中島定彦氏・木原千彰氏・金下真子氏による「ネズミはやっぱりチーズ好き」と題したラット・マウスのチーズ選好実験が、2014年に報告されています。
この実験では、固形飼料とチーズを並べて与えたところ、ねずみがチーズの方を好んで食べる傾向が確認されました。
一方で、アメリカのドレクセル大学で進化生物学を研究する Megan Phifer-Rixey 氏は、科学メディア Live Science の取材に対し、ハツカネズミはチーズを含めて手に入るものは基本的に何でも食べるものの、チーズが特別な好物だという証拠はないと述べています。
同氏によると、ねずみをおびき寄せる餌としては、強い匂いとタンパク質・脂質を含むピーナッツバターの方が効果的だとされています。
参考:GIGAZINE「ネズミは本当にチーズが好きなのか?チーズよりも好きなものはあるのか?」
なぜ「特別好き」と言えないのか
ねずみはもともと「雑食性」、つまり植物性・動物性を問わず食べられるものは何でも口にする性質を持つ動物です。
そのため、チーズも「食べられるものの一つ」として食べているにすぎず、数ある好物の中で最上位というわけではありません。
さらに、ねずみの種類によっても好みが異なり、クマネズミやハツカネズミは穀物などの植物性のエサを、ドブネズミは肉や魚などの動物性のエサを好む傾向があります。
つまり、ねずみの個体や種類によってチーズへの反応にもばらつきがあるため、「ネズミ=チーズ好き」と一括りにするのは難しいといえます。
なぜチーズ好きと言われているのか
「ネズミ=チーズ好き」というイメージが定着した背景には、主に3つの説が関係していると考えられています。
ここでは、それぞれの説について詳しく見ていきましょう。
穴あきチーズの誤解説
アニメや絵本でおなじみの、穴の空いたチーズを思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。
これは「エメンタールチーズ」と呼ばれる、スイス原産のチーズで、内部には「チーズアイ」と呼ばれる多数の穴があります。
この穴について、中世ヨーロッパでは「ねずみがかじった跡」と誤解されたことが、「ネズミ=チーズ好き」のイメージにつながったとされています。
実際には、チーズアイは発酵の過程で発生するガスによってできるもので、2015年にはスイスの研究機関アグロスコープが、牛乳にわずかに混ざる干し草の粒子が気泡の核となって穴を作ることを明らかにしました。
中世ヨーロッパの保存環境説
当時のヨーロッパの家庭では、チーズは密閉された容器ではなく、貯蔵庫の棚にそのまま置かれることが一般的でした。
そのため、ねずみが侵入してチーズをかじる場面を人々が目にする機会が多く、「ネズミはチーズが好き」という印象が広まったと考えられています。
現代では冷蔵庫など、ねずみが手を出しにくい場所にチーズを保管することが一般的になったため、ねずみにとってチーズはむしろなじみの薄い食材になっているともいえます。
トムとジェリーの影響説
1940年から続くアメリカのアニメ「トムとジェリー」では、ねずみのジェリーがチーズを大好物として描かれています。
劇中に登場するチーズも、穴の特徴的なエメンタールチーズです。
これは、絵で表現したときに一目でチーズだとわかりやすいことが理由とされています。
世界中で親しまれてきた作品であるため、「ねずみ=チーズ好き」というイメージを決定づけた要因の一つと考えられています。
ネズミの本当の好物とは
これまで見てきた通り、ねずみの好物はチーズに限られたものではありません。
ここでは、種類ごとの違いと、実際に被害が多い食品について詳しく見ていきましょう。
種類別に好物は異なる
家屋に侵入する代表的なねずみは、クマネズミ・ドブネズミ・ハツカネズミの3種類です。
クマネズミは米や小麦、トウモロコシなどの穀類を好み、乳製品や果物も食べますが、肉や魚はあまり好みません。
主に屋根裏や天井裏など、家屋の高い場所を活動拠点とします。
ドブネズミは魚や肉、生ゴミなど水分の多い食品を好み、下水道や床下といった湿った場所に生息します。
ハツカネズミは種子や昆虫、野菜や果物を好み、屋外や倉庫周辺に巣を作ることが多い種類です。
参考:日本有害鳥獣駆除・防除管理協会「ネズミの大好物ってなに?」
ねずみが好む食品ランキング
実際の被害現場では、炭水化物を多く含む食品が特に狙われやすい傾向にあります。
米やパン、麺類などの主食はもちろん、菓子類や調理油の残ったフライパンなども被害に遭いやすい食品です。
たんぱく質と脂質を多く含む食品も好まれやすく、菓子パンや揚げ物の食べこぼしなども標的になりやすい食品です。
このほか、ペットフードや生ゴミ、密閉されていない調味料なども、ねずみにとって手軽に食べられるエサとなります。
逆にいえば、これらの食品を適切に管理することが、ねずみを寄せ付けないための第一歩といえるでしょう。
ネズミ対策としてチーズは使えるか

ここまでの内容を踏まえると、チーズは捕獲エサとして最適とは言えません。
では、実際にどのような対策が効果的なのか見ていきましょう。
捕獲エサとしての効果
チーズは匂いが弱まりやすく、時間が経つと乾燥してねずみの興味を引きにくくなるという弱点があります。
これまで紹介してきたとおり、ねずみは匂いの強い食品に引き寄せられやすい習性を持っています。
そのため、捕獲エサとしてはチーズよりも、匂いが強く長持ちする食品の方が効果を発揮しやすいといえます。
チーズ以外のおすすめエサ
ピーナッツバターは匂いが強く、タンパク質や脂質も豊富なため、ねずみをおびき寄せるエサとして特に効果的です。
クマネズミやハツカネズミが侵入している場合は、米やナッツなど穀物系のエサも好まれやすい傾向にあります。
ドブネズミが疑われる場合は、魚肉ソーセージやベーコンなど、動物性のエサを選ぶとよいでしょう。
このように、ねずみの種類に合わせてエサを使い分けることが、効率的な捕獲につながります。
ねずみ被害を防ぐ予防策
ねずみの好物がわかったところで、実際に被害を防ぐための対策を見ていきましょう。
大がかりな駆除の前に、まずは自分でできる予防策から始めることが大切です。
食品・ゴミの管理方法
米や穀類、お菓子などはふた付きの密閉容器に入れて保管し、紙袋やビニール袋のまま放置しないようにしましょう。
調理後の油汚れや食べこぼしも、ねずみを引き寄せる原因になるため、こまめに掃除することが効果的です。
生ゴミはふた付きのゴミ箱に入れ、できるだけその日のうちに処分することをおすすめします。
ペットフードも出しっぱなしにせず、食べ残しはすぐに片付け、保管場所も密閉容器に移しておくと安心です。
段ボールや新聞紙、布類など、巣の材料になりやすいものを家の中に溜め込まないことも、侵入を防ぐポイントです。
あわせて、エアコンの配管まわりや換気口、壁の隙間など、ねずみが侵入しやすい場所をふさいでおくことも欠かせません。
ねずみは1.5cm程度のわずかな隙間からでも入り込めるため、目につきにくい箇所も含めて点検しておくと安心です。
キッチンや床下収納など、食品を扱う場所は特に重点的にチェックしておきましょう。
忌避剤・駆除剤の活用法
ハッカ油やワサビ、月桃などの天然成分を使った忌避剤(きひざい)とは、ねずみが苦手とする匂いでその場所への定着を防ぐ薬剤のことです。
スプレータイプは侵入経路に直接吹きかけやすく、設置タイプは天井裏や床下など頻繁に手を入れにくい場所でも、置くだけで効果が持続しやすいという特徴があります。
市販の忌避剤を侵入経路や通り道に置くだけで、ある程度の効果が期待できます。
食品被害だけで済めばよいのですが、ねずみは硬いものをかじる習性があり、電気配線をかじって停電や漏電、火災につながるおそれもあります。
また、糞尿やダニの発生によって、アレルギーや感染症など衛生面のリスクが高まる点にも注意が必要です。
すでに被害が大きく、自分で対処しきれないと感じた場合は、毒餌や粘着シートなどの駆除剤を使う方法もあります。
対策を行った後も、新しい糞や足跡などのラットサインがないか、しばらくは定期的に確認しておくと安心です。
巣の規模が大きい、繁殖が進んでいる、天井裏で頻繁に足音がするといったケースでは、無理をせず専門の駆除業者に相談することも選択肢の一つです。
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まとめ
「ネズミ=チーズ好き」というイメージは、エメンタールチーズの穴の誤解や、中世ヨーロッパでの保存環境、アニメ「トムとジェリー」の影響など、複数の要因が重なって広まったものでした。
実際のねずみは雑食性で、種類によって好む食べ物が異なり、チーズだけを特別に好んでいるわけではありません。
米やパン、ピーナッツバターなど、匂いが強く高カロリーな食品の方が、ねずみにとっては魅力的な存在です。
ねずみ対策では、食品やゴミの管理、侵入経路となる隙間の封鎖、忌避剤の活用といった日常的な工夫が予防の基本になります。
被害が大きい場合や自分での対応が難しいと感じた場合は、無理をせず専門の駆除業者へ相談することも検討してみてください。